「モンスーン(monsoon)」「センセーション(sensation)」「マスターピース」。15年に始まった「EMISHIKI 恋をするたびに」シリーズは「届かぬ想い」「逢引きの夜に」「別れの予感」など、ドキッとするような副題が添えられ、その甘酸っぱい味わいと芳醇な香りから、多くのオトナ女子をキュンキュンさせたのも記憶に新しい。
それら日本酒の銘柄とは思えないような個性的なネーミングに派手な絵柄を配したラベルの酒を醸造販売するのは、創業1892年、甲賀市の笑四季酒造5代目蔵元、竹島充修さん。2008年、結婚を機に同酒造で酒造りを始めた竹島さんは、その2年後から個性的なラベルの酒を販売。「百貨店や酒販店、居酒屋の棚でとにかく目立つことをいちばんに考えた」と言い「酒の味は二の次だったかも」と苦笑する。
そんな竹島さんが酒造りに本気で取り組む覚悟を決めたのは、銀行から借金をして設備を一新した14年のこと。目指す酒を造るために、不要なものを処分し、必要と考えた設備と技術だけを取り入れた、という竹島さんの潔さに感服していると「これで劇的に旨い酒が造れると確信していたから」ときっぱり。
その言葉通り、以降エントリーモデルの「センセーション黒・白」、貴醸酒「モンスーン」、大吟醸造りの「マスターピース」などのレギュラーシリーズはもとより、「笑四季劇場」「赤い糸」など多彩なラインナップの酒はどれも、国内はもとより海外でも高評価を得ることになり、日本酒ファンの一般人がブラインドで好みの滋賀酒を選ぶ「みんなで選ぶ滋賀の地酒会」では17・18年の2年連続で知事賞を受賞した。
挑戦と失敗、成功を繰り返しながら成長し続ける竹島さんの酒。今期の造りについて聞くと「ちょっと尖った酒。シャキッとした味わいを期待して」と返ってきた。
新しい“竹島ワールド”が楽しみすぎてワクワクが止まらない。2021.12.